フェリス女学院中学校96年第5問(解答・解説)


(1)
フェリス女学院中学校1996年算数第5問(解答・解説)の図1

一番小さい扇(おうぎ)形は、図1の扇形ア(赤色で囲まれた、半径1cm、中心角30度の扇形)で、一番大きい扇形は、図1の扇形イ(半径4cmの半円)ですね。
面積を比べるために、図1の扇形ウ(黄緑色で囲まれた、半径4cm、中心角30度の扇形)を考えてみましょう。
扇形アと扇形ウは相似で、相似比は1cm:4cm=1:4だから、面積比は1×1:4×4となります。←「相似比 A:B → 面積比 A×A:B×B」
また、扇形イは扇形ウの6個分だから、求める面積比(一番大きいおうぎ形の面積と、一番小さいおうぎ形の面積の比)は
 4×4×6:1×1=96:1
となります。

(2)
中心(A)と残りの2点(同じ半円周上)で扇形が決まります。残りの2点のうち「右側」の点を固定して考えて(図3の数字の書き込んでいる部分が「右側」の点となる可能性があります)、その際に残りの点(「左側」の点)が何個取れるか(これが扇形の個数に他なりません)を書き込んで行きます。
わかりにくいので、具体例で考えてみましょう。
フェリス女学院中学校1996年算数第5問(解答・解説)の図2


残りの2点のうち「右側」の点をBに固定して考えます。すると、残りの点(「左側」の点)として、C、D、E、F、G、Hの6点が取れる(扇形ABC、ABD、ABE、ABF、ABG、ABHの6個ができますね)。ので、Bのところに6と書き込みます。
次に、残りの2点のうち「右側」の点をCに固定して考えます。すると、残りの点(「左側」の点)として、D、E、F、G、Hの5点が取れる(扇形ACD、ACE、ACF、ACG、ACHの5個ができますね)ので、Cのところに5と書き込みます。
以下、順次同じ作業を繰り返すだけですね
しかも、以上の処理は、半径1cmの半円周上、半径2cmの半円周上、半径3cmの半円周上、半径4cmの半円周上すべてにおいてまったく同様にできますね。
フェリス女学院中学校1996年算数第5問(解答・解説)の図3

求める個数は、
 (1+2+3+4+5+6)×4
 =(1+6)×6×1/2×4  (★)を参照しましょう。
 =84個

(別解)
中心(A)と残りの2点(同じ半円周上)で扇形が決まります。 図2を見てください。
残りの2点の決め方は、B、C、D、E、F、G、Hの7個の点の中から2個の点の選び方に他ならないので、
 (7×6)/(2×1)=21通り (※)を参照しましょう。
半径1cmの半円周上、半径2cmの半円周上、半径3cmの半円周上、半径4cmの半円周上すべてにおいて同様に考えることができるので、求める個数は
 21×4=84個
となります。

(※)組み合わせ
7個の点の中から1個目の点の選び方は7通りあり、そのそれぞれに対して、2個目の点の選び方が6通りあります(7×6通り)。ただ、組み合わせとしては同じもの(例えば、1個目Bで2個目Hと1個目Hで2個目B)を2×1回ずつカウントしています(2×1倍カウントしているということです)。そこで、7×6を2×1で割ればいいんですね。

追加設問)(3)
個別の面積を求めてから、足し算するという方針では無理ですね(理論的には、可能ですが・・・)。
比で処理しましょう。
(一番小さい)扇形アの面積を[1]とします。すると、半径1cmの扇形の面積の和は、
 [1]×(1×6+2×5+3×4+4×3+5×2+6×1)
となります。 ←中心角30度の扇形(面積は[1](×1))は6個、中心角60度の扇形(面積は[1]×2)は5個、中心角90度の扇形(面積は[1]×3)は4個、中心角120度の扇形(面積は[1]×4)は3個、中心角150度の扇形(面積は[1]×5)は2個、中心角180度の扇形(面積は[1]×6)は1個あります(図2で考えてみればわかります)。
また、扇形アと図1の扇形エ(赤紫色で囲まれた、半径2cm、中心角30度の扇形)と図2の扇形オ(水色で囲まれた、半径3cm、中心角30度の扇形)と扇形ウは相似で
 相似比  扇形ア:扇形エ:扇形オ:扇形ウ
      =1cm:2cm:3cm:4cm=1:2:3:4
  ↓
 面積比  扇形ア:扇形エ:扇形オ:扇形ウ
      =1×1:2×2:3×3:4×4
      =1:4:9:16
だから、半径2cm、3cm、4cmの扇形の面積の和は、それぞれ
 [1]×4×(1×6+2×5+3×4+4×3+5×2+6×1)
 [1]×9×(1×6+2×5+3×4+4×3+5×2+6×1)
 [1]×16×(1×6+2×5+3×4+4×3+5×2+6×1)
となります。
したがって、求める面積の和
  [1]×(1×6+2×5+3×4+4×3+5×2+6×1)+[1]×4×(1×6+2×5+3×4+4×3+5×2+6×1)+[1]×9×(1×6+2×5+3×4+4×3+5×2+6×1)+[1]×16×(1×6+2×5+3×4+4×3+5×2+6×1)
 =[1]×(1+4+9+16)×(1×6+2×5+3×4+4×3+5×2+6×1) 分配法則の逆を利用しました。
 =1×1×3.14×1/12×30×(6+10+12)×2
   扇形アの面積([1]
 =3.14×1/12×30×28×2
 約分できますね。ただし、30と12の約分は6にはせずに3でとどめます(まず、12と28を4で約分し、次に、3(12÷4)と30を約分するといいでしょう)。
 =3.14×140
 =3.14×100+3.14×40
  分配法則を利用しました。暗算できますね。
 =314+125.6
 =439.6cm2

(★)等差数列の和を求める手法をついでに確認しておきましょう。
  S= 1+2+3+4+5+6
)S= 6+5+4+3+2+1
 S×2=(1+6)×6
 S=(1+6)×6/2=21
イメージ図
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