千葉大学2012年前期文系数学第2問(解答・解説)
問題文の意味がわかりにくければ、p=2、q=3、m=1、n=3というような具体例を作って考えるとよいでしょう。
分母が2×2×3×3=36で、分子が2でも3でも割り切れない分数、つまり、分母が36の既約分数のうち、1よりも大きく3よりも小さいものは何個ありますかという、中学入試でもよくある問題にすぎないことがわかりますね。
さて、問題を解いてみましょう。
帯分数で考えます。
整数部分は、m、m+1、m+2、・・・n−2、n−1の(n−1)−(m−1)=n−m通り考えられます。 ←例えば、10から99までの整数の個数を求める場合、1から99までの整数の個数から、1から9までの整数の個数を引いて、99−9=90個とするのと同じことです。
分数部分は分母がp2q2で、分子が、1、2、・・・、 p2q2−1のうち、pでもqでも割り切れないものになります。
答えには影響しないので、1からp2q2までで考えます。 ←p2q2は条件を満たさないので、いったんカウントしたとしても、結局は、取り除かれるからです。〜「たしすぎ→ひく」
分子で条件を満たすものの個数は
(すべての個数)−(pで割り切れるものの個数)−(qで割り切れるものの個数)+(pでもqでも割り切れるものの個数) ←まず大雑把に考え、後で調整します。〜「ひきすぎ→たす」
=p2q2−[p2q2/p]−[p2q2/q]+[p2q2/(pq)] ←[○]は○を超えない最大の整数を表します(ガウス記号)。例えば、[2.5]=2、[5]=5となります。
=p2q2−pq2−p2q+pq
となるから、条件を満たす分数は全部で
(p2q2−pq2−p2q+pq)(n−m)個
あります。
なお、答えは、因数分解を利用すると、pq(p−1)(q−1)(n−m)と整理することができます。
小学生には少しわかりにくいかもしれませんが、説明しておきます。
p2q2−pq2−p2q+pq
=pq(pq−q−p+1) ←共通するpqに注目して、分配法則の逆を利用しました。3.14×35+3.14×65=3.14×(35+65)=3.14×100=314というように計算するのと同じことです。
=pq{(q−1)p−q+1} ←括弧の中ですが、2種類の文字p、qを同時に扱うのは厳しいので、1つの文字(ここではp)だけに注目して、整理しました(分配法則の逆を利用しました)。
=pq{(q−1)p−1−(q−1)+1} ←引かれる数字((q−1)p)と引く数字(q)のそれぞれから1を引きました。差は変わりませんね。例えば、A君とB君がそれぞれお金を持っているときに、同じ金額のものを買っても、所持金の差が変わらないのと同じことです。
=pq{(q−1)p−(q−1)}
=pq(q−1)(p−1) ←共通部分の(q−1)に注目して、分配法則の逆を利用しました。