名古屋大学2016年前期文系数学第3問(解答・解説)
(1)
s(2kp)
=1+2+22+・・・+2k+p+2×p+22×p+・・・+2k×p
=(1+2+22+・・・+2k)+(1+2+22+・・・+2k)×p
=(1+2+22+・・・+2k)×(1+p) ←分配法則の逆を利用しました。実は、長方形の面積を求めるイメージで、最初からこの式を作ることができます。約数の和の求め方については、神戸女学院中学部1995年算数2日目第4問の解説を参照しましょう。
最初の( )の中は、初項(最初の数)1、公比2、項数(個数)k+1の等比数列の和になっていますね。 ←等比数列の和の求め方については、灘中学校1992年算数2日目第1問の解説を参照しましょう。
@=1+2+22+・・・+2k
A= 2+22+・・・+2k+2k+1 ←上の式を2倍して、1つずつ右にずらしました。
差@=2k+1−1 ←うまく消えましたね。
したがって、s(2kp)=(2k+1−1)(1+p)となります。
(2)
2016を素因数分解します。
16)2016 ←125×8=1000だから、125×16となります。このことを利用しました。
6) 126
21
2016=25×32×7 ←上の計算で、16=24、6=2×3、21=3×7とすれば、この結果が得られますね。
となるから、
s(2016)
=(1+2+22+・・・+25)×(1+3+32)×(1+7)・・・(☆) ←直方体の体積を求めるイメージで、この式を作りました。
=63×13×8
=6552
となります。
(3)
(2)がヒントになっていますね。 ←メインの問題の前に簡単な問題がある場合は、誘導になっている可能性が高くなります。
2016の正の約数nのs(n)は、(☆)の3つの括弧(かっこ)内のそれぞれの部分について、後ろ側からいくつかの数字を取り除いたものになります(ただし、先頭の1は取り除かずにおいておきます)。 ←例えば、25×3であれば、1個目の括弧内はそのまま、2個目の括弧内は1+3、3個目の括弧内は1となります。
3個目の括弧内の7を取り除くと、s(n)は63×13<2016となるので、3個目の括弧内はそのままとなります。
2個目の括弧内の32を取り除くと、s(n)は63×4×8=252×8=2016となるので、1個目の括弧内はそのままとなります。
この場合のnは
25×3×7
=2016/3
=672
となります。
2個目の括弧内の32と3を取り除くと、s(n)は63×8<2016となるので、この場合はありえません。
あとは、1個目の括弧内から取り除く場合だけを考えればいいですね。
1個目の括弧内から25を取り除くと、s(n)は31×13×8(6552の半分ぐらいなので、2016より大きいですね)だから、条件を満たしません。
1個目の括弧内から25と24を取り除くと、s(n)は15×13×8<2016となり、条件を満たしませんし、1個目の括弧内からこれ以上取り除いた場合も当然条件を満たしませんね。
したがって、求めるnは672となります。 ←すべて求めるのが当たり前なのに、問題文にわざわざ「すべて」とつけて、答えが1個となるのがいやらしいですね!