同志社中学校1999年算数第7問(解答・解説)
本問は、典型的な流水算の問題ですね。
(典型的な流水算の問題のポイント)
流水算というのは、自分自身の速さが他の速さに影響される(速くなったり、遅くなったりする)場合の時間、距離、速さを求める問題です。
流水算の問題は、速さに特徴があります。
典型的な流水算の問題は、あるものが正反対の方向に進み、双方向とも他の速さの影響を受ける(ただし、進む方向が逆になると、逆の影響(影響の大きさ自体は同じ)を受ける)問題です。
典型的な流水算の問題は、和差算(もしくは、平均)を利用して解きます。
船の上りの速さ=船の静水時の速さ−川の流速
船の下りの速さ=船の静水時の速さ+川の流速
大=(和+差)÷2、小=(和−差)÷2になるのでしたね。結局、
静水時の速さ=(船の下りの速さ+船の上りの速さ)÷2
川の流速=(船の下りの速さ−船の上りの速さ)÷2
となります。
なお、次のように考えてもいいでしょう。
船の上りの速さ、船の静水時の速さ、船の下りの速さを数直線(線分図)上に書き込むと、等間隔(川の流速の大きさ)で、並んでいることがわかりますね。
すると、船の静水時の速さ(平均になりますね)=(船の下りの速さ+船の上りの速さ)/2となることはすぐにわかりますね(船の下りの速さ=船の上りの速さ+川の流速×2となることなどもすぐにわかりますね)。
実際には、船の静水時の速さが船の上りの速さと船の下りの速さの真ん中にあることを利用するのがわかりやすいでしょう。
たかしくんとお父さんの二人が出てきて混乱しそうなので、たかしくんとお父さんの条件を分けて考えます。
たかしくんの条件
下り 30分
上り 40分
お父さんの条件
上り 20分
下り ?分
(方針その1)
時間の条件はたくさんありますが、距離がわからないので、速さが出せません。
そこで、距離を仮定して解きます。
距離を[120]mとします。 ←距離を[1]とおくと計算が面倒なので、30と40と20のLCM(最小公倍数)を利用します。
たかしくんの下りの速さ=[120]/30=[4](m/分)
たかしくんの上りの速さ=[120]/40=[3](m/分)
本当は、流速が整数となるように[240]とおくのがベストだった!!
たかしくんの静水での速さ=([4]+[3])/2=[7/2](m/分)
流速=([4]−[3])/2=[1/2](m/分)
お父さんの上りの速さ=[120]/20=[6](m/分)
お父さんの静水での速さ=([6]+[1/2])=[13/2](m/分)
(1)
お父さんの静水での速さはたかしくんの静水での速さの
[13/2]÷[7/2]
=13/7(1と6/7)倍
となります。
(2)
お父さんの下りの速さ=([13/2]+[1/2])=[7](m/分)
だから、求める時間は
[120]/[7]
=120/7(17と1/7)分
となります。
(方針その2)
比をフルに活用して解きます。
(1)静水時の速さが問題になっているので、上りと下りの両方の条件のあるたかしくんにまず注目します。
与えられた時間の条件を速さの条件に近づけることを考えます。
時間の比(たかし)
上:下=40分:30分=4:3
↓逆比(距離一定) 距離一定 ⇒ 速さの比=時間の比の逆比 〜時間と速さは反比例
速さの比(たかし)
上:下=3:4
=E:G ←たかしくんの静水時の速さと流速を整数にするため!
たかしくんの静水時の速さ=(E+G)÷2=F
流速=G−F=@
次に、お父さんの速さとたかしくんの速さを比べます。
時間の比
お父さん(上):たかしくん(上)=20分:40分=1:2
↓逆比(距離一定)
速さの比
お父さん(上):たかしくん(上)=2:1
たかしくん(上)の速さがEだから、お父さん(上)の速さはE×2/1=Kで、お父さん(静水時)の速さ=K+@=Lとなるので、お父さんの静水での速さはたかしくんの静水での速さの
L/F=13/7(1と6/7)倍
となります。
(2)
お父さん(下)の速さ=L+@=M
今度は、速さの比の条件の時間の条件に近づけることを考えます。
速さの比
お父さん(下):たかしくん(下)=M:G=7:4
↓逆比(距離一定)
時間の比
お父さん(下):たかしくん(下)=4:7
たかしくん(下)の時間は30分だから、お父さん(下)の時間は
30×4/7=120/7分(17と1/7)
となります。