女子学院中学校2003年算数第4問(解答・解説)

(1)
  求める面積
 =(外側の面積)+(内側の面積)
 =(もともとの立方体の表面積)−(くりぬいた四角柱の底面積)×2+(くりぬいた四角柱の側面積)
 =20×20×6−10×10×2+20×(10×4)
 =2400−200+800
 =3000cm2
となります。
(2)(前半)

体積を求める手法

@直接求める〜公式
柱体の体積公式(底面積×高さ)、錐体の体積公式(底面積×高さ×1/3)、応用公式(三角柱を斜めに切断したもの、直方体をななめに切断したもの等)を利用します。

A「和」で求める〜分割
直接求めることができないとき、体積を求める図形を適切に分割し、体積公式が使えるようにします。 大切なのは、分割されたそれぞれの体積がともに求まるようにすることです。
分割されたそれぞれの体積を個別に求め、最後に足し算します。

B「差」で求める〜復元
直接求めることができないとき、体積を求める図形に適切な図形を書き加え、体積公式が使えるようにします。大事なのは、書き加えた部分の体積・書き加えたあとの図形全体の体積がともに求まるようにすることです。最後に、書き加えた後の全体の体積から、書き加えた部分の体積を引き算します。

C「比」で求める
相似比から体積比(相似比×相似比×相似比)を求めたり、高さ、底面積の等しい図形を見つけ、そこから体積比を出したりします。

なお、@〜Cを併用しなければならない問題もあります。
また、図形を移動したり、等積変形を用いたりした後、@〜Cを利用する問題もあります。
その他、「方眼紙(ブロック)」で求めるとか「たしすぎたら、ひく(ひきすぎたら、たす)」(図形の重なりがある場合)などもあります。

(解法1)スライスして「和」で求めます。

図のように、手前から5cm、15cmのところでスライスし、(A)、(B)、(C)の3つの部分に分割します。
女子学院中学校2003年算数第4問(解答・解説)の図1

図の(B)は、上下に2つに分かれていますが、合体させると、底面が1辺の長さ10cmの正方形・高さが20cmの四角柱(直方体)になります。その体積は
  10×10×20=2000cm3
となります。
図の(A)と(C)をあわせたものは、底面が1辺の長さ20cmの正方形・高さが10cmの四角柱から、底面が直径10cmの円・高さが10cmの円柱を除いたものになります。その体積は
  20×20×10−10/2×10/2×3.14×10
 =4000−157×5
 =4000−785
 =3215cm3
となります。
以上より、求める体積は、
  2000+3215=5215cm3 となります。

(解法2)「ひきすぎたら、たす(たしすぎたら、ひく)」を利用して求めます。

本問を解く前に、次の問題を考えてみましょう。
(問題)40人のクラスで算数のテストを行いました。問題はAとBの2問あって、Aができた人は25人、Bができた人は、20人、両方ともできた人は17人でした。両方ともできなかった人は何人ですか。

中学受験生なら、ヴェン図を(頭の中で)描いて、簡単に解けますよね。
女子学院中学校2003年算数第4問(解答・解説)の図2

A、Bどちらかができた人の人数を
  25+20−17 「たしすぎたら、ひく」
 =28人
と求めて、
  40−28=12人
とするか
  40−25−20+17 「ひきすぎたら、たす」
(ただ、この式は順番通りに計算すると、小学生の範囲外になります。)
 =57−45(たし算を先にすれば、問題ないですよね。)
 =12人
とするでしょう。
最初、重なりの部分を無視して大雑把(おおざっぱ)に計算(たしすぎ、ひきすぎ)し、あとで重なりの部分を調整(ひく、たす)しているんですね。 以上の解法を本問で利用します。

  1辺20cmの立方体の体積をU
  底面が1辺の長さ10cmの正方形・高さが20cmの四角柱の体積をX
  底面が直径10cmの円・高さが20cmの円柱の体積をY
  くりぬいた四角柱と円柱の重なり(底面が直径10cmの円・高さが10cmの円柱)の体積をZ
とします。
女子学院中学校2003年算数第4問(解答・解説)の図3

求める体積は、
 =U−X−Y+Z
 =20×20×20−10×10×20−10/2×10/2×3.14×20+10/2×10/2×3.14×10
 =8000−2000−10/2×10/2×3.14×10
 =8000−2000−157×5
 =6000−785
 =5215cm3

なお、U−(X+Y−Z)としても同じことですね。

(解法3)真正面から見た図で考えて解きます(真横や上下からのくりぬきを奥行きの減少としてとらえます)。

女子学院中学校2003年算数第4問(解答・解説)の図4

図の点線に関して対称(線対称)だから、左上の1/4のみで考えて、あとで4倍します。 対称性を利用して作業を減らす。
なお、正方形の対角線に関しても対称ですが、これを利用してもメリット(利点)がないので、利用しません。
求める体積は、図のピンクの斜線部分(底面がピンクの斜線部分の長方形・高さ(奥行き)が20cmの四角柱)の体積の4倍と図の青斜線部分(底面が青斜線部分の図形・高さ(奥行きが20−10=10cmの柱体)の体積の4倍の和になるから、
  5×10×20×4+(5×10−10/2×10/2×3.14×1/4)×10×4
 =4000+500×4−10/2×10/2×3.14×1/4×4 分配法則を利用しました。
 =4000+2000−157×5
 =5215cm3

(後半)

(解法1)(1)の誘導を利用します。

立体(あ)との違いをチェックします。
直径10cmの円の面積が4個減る(もともとの立方体の面上の2個、もともとの立方体の内部(くりぬいた四角柱の側面)の2個)一方で、底面が直径10cmの円・高さが10cmの円柱の側面積が増えています。
したがって、求める面積は、
  3000−10/2×10/2×3.14×4+10×(10×3.14)
 =3000cm2
 うまく消えましたね! 出題者に感謝!!

(解法2)誘導に気付かなければ・・・

見落としを防ぐために丁寧(ていねい)に場合を分けて考えましょう。

(ア)外側(もともとの立方体の表面上)

もともとの立方体の表面積から、1辺の長さ10cmの正方形の面積2個分と直径10cmの円の面積2個分をひいたものになります。

  20×20×6−10×10×2−10/2×10/2×3.14×2
 =2400−200−314/2
 =2200−314/2(cm2) 答えではないので、あえて計算しません。

(イ−1)内側((A)と(C)の部分)

底面が直径10cmの円、高さが10cmの円柱の側面積になります。

  10×(10×3.14)=314(cm2

(イ−2)内側((B)の部分)

底面が1辺の長さ10cmの正方形・高さが20cmの四角柱(直方体)の側面積から直径が10cmの円の面積2個分を除いたものになります。
  20×(10×4)−314/2
 =800−314/2(cm2) 答えではないので、あえて計算しません。

以上より、求める面積は
  2200−314/2+314+800−314/2 うまく消えますね!
 =3000cm2

なお、途中で無闇(むやみ)に計算しないようにしましょう。
最後にまとめて計算すれば、面倒な計算が回避できるかもしれないからです。
また、同じもの(解説中の下線部分)に注目して、しなくても済む(無駄な)計算を回避しようとする姿勢も大切です。手抜きして、楽をしようということですね。算数の勉強を手抜きされると困りますが・・・(^^;)



中学受験・算数の森TOPページへ