神戸女学院中学部1999年算数1日目第3問(解答・解説)


通過算の問題です。
通過算は、距離に特徴があります。
  通過する距離=通過するものの長さ+通過する対象の長さ
完全に通過しない場合(たとえば、トンネルの中にすっぽり隠れている場合など)は、和にならないから、注意しましょう(図をしっかり描けば大丈夫です)。
通過する対象には、主に、次のようなものがあります。
  電柱、人〜長さ0ですね。
  トンネル、鉄橋、駅のプラットホーム
  電車〜動いている電車を「通過」する場合も通過する対象の電車を止めて考えれば、同じことですね(速さが、差や和になるだけ(旅人算))。


さて、問題を解いてみましょう。
(1)
「ある列車が、長さ230mの鉄橋を渡り始めてから、渡り終わるまでに15秒かかります。」という部分(A)から、
  (列車の長さ)+(鉄橋の長さ〜230m)の距離を15秒で進む(☆)
ことがわかります。
線分図に表してみると、
神戸女学院中学部1999年算数1日目第3問(解答・解説)の図1

「この列車が速さを1.2倍にすると、長さ860mのトンネルを通りぬけるのに35秒かかります。」の部分(B)を考えます。
速さが変わっているから扱いにくい(Aの場合と比べにくい)ですね。
そこで、Bの条件を速さがAと同じ場合の条件に読み替えます。
速さが1.2倍ということは、速さの比が
  1:1.2(6/5)
 =5:6
ということですね。Bの条件を考えているのだから、距離が一定ですね。すると、時間の比は
  E:D  ←距離一定⇒時間の比=速さの比の逆比
となります。Dが35秒に相当するから、Eは
  35×E/D
 =42秒
となります。
結局、Bの条件は「この列車が、長さ860mのトンネルを通りぬけるのに42秒かかります。」という条件に読み替えることができるから、
  (列車の長さ)+(トンネルの長さ〜860m)の距離を42秒で進む(★)
ことがわかります。
線分図に表してみると、
神戸女学院中学部1999年算数1日目第3問(解答・解説)の図2

(☆)と(★)では、速さが同じだから、あとは見比べれば解決します。
神戸女学院中学部1999年算数1日目第3問(解答・解説)の図3

(☆)と(★)の差を考えると、 ←わからない列車の長さを消去したいから、差を考えます。
  860−230=630m
の距離を
  42−15=27秒
で進むことがわかります。これで列車の速さが求められるから、列車の長さも求まりますね。
列車の長さは
  630/27×15−230 ←(☆)のほうで考えました。列車の速さ×鉄橋を通過する時間−鉄橋の長さ
 =350−230 うまく約分できましたね。
 =120m
となります。
(2)
「トンネルをぬけて、そのままの速さで次のトンネルに先頭が入るまでに1分かかります。」という部分から、
  (トンネルとトンネルの間の距離)−(列車の長さ)の距離を1分で進む
ことがわかります(下の図を参照)。
神戸女学院中学部1999年算数1日目第3問(解答・解説)の図4

求める距離は
  630/27×6/5×60+120 ←1.2倍の速さの方であることに注意しましょう。列車の速さ(1.2倍の方)×移動した時間+列車の長さ
 =1680+120 うまく約分できましたね。
 =1800m
 =1.8km ←解答欄の単位がkmであることに注意しましょう。



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