ラ・サール中学校1997年算数2日目第4問(解答・解説)
行列を処理するという仕事をする一方で、それとは正反対の、行列を新たに作るという仕事をしていますね。
ニュートン算と言われる典型的な問題です。
ニュートン算のポイントは、次の2点になります。
★単位時間の増減の変化をつかむ(もしくは、のべ数に着目する)。
★線分図で差に着目する。
では、問題を解いてみましょう。
この問題には、ニュートン算を解く手順を教えてくれるような誘導がついていますから、それにしたがって解いていきましょう。
(1)窓口1つで1分あたりに受付ける人数を@とします。
線分図をかきます。
その際に必要となる式を先に作っておきます(むやみに計算しないようにしましょう)。
1時間15分(75分)間に並ぶ人数は、24×75人です。 単位時間(1分)の「増」は、24人ですね。
窓口3つで1時間15分間に受付ける人数は、@×3×75人です。
45分間に並ぶ人数は、24×45人です。
窓口4つで45分間に受付ける人数は、@×4×45人です。
さて、これで線分図をかく準備が整いました。
まず、「入場開始の午後1時には、すでに長い行列ができていて、その後も1分あたり24人の割合で増えます」という部分と「入場窓口を3つにすると、1時間15分で行列がなくなり」という部分を線分図に表します。
図2の上側の線分図になります。
その際、仕事を持ってくるという要素(最初の行列、新たに増える行列)を線分図の下側に、仕事をこなすという要素(行列をどれだけ処理するかということ)を線分図の上側に持ってきます(ニュートン算の線分図のイメージを参照しましょう)。
次に、「入場開始の午後1時には、すでに長い行列ができていて、その後も1分あたり24人の割合で増えます」という部分と「窓口を4つにすると、45分で行列がなくなる」という部分を線分図に表します。
上側の線分図と同様にすると、図2の下側の線分図になります。
線分図で、差を取ります。 線分図で差に着目!
すると、@×45が24×(75−45)=24×30人に相当することがわかります。
したがって、求める人数(@)は、
24×30/45(うまく約分できますね)
=16人
となります。 単位時間(1分)の「減」(窓口1つあたり)が16人とわかりました。
(2)求める人数は、
24×30×4−24×45(下側の線分図に注目して式を作りました。@=16人を使わずに、答えの手前の式(@×45=24×30人)を使いました。)
=24×(120−45) (分配法則の逆を利用)
=24×75
=12×150 (24に含まれる2を75に「振替」、「5と2は仲良し」)
=6×300 (12に含まれる2を150に「振替」、「5と2は仲良し」)
=1800人
(★)「振替」について
ある数に含まれる数を別の数に分け与えることです。
具体例を見てみましょう。
217+189
=206+200(217に含まれる11を189に「振替」)
=406
3.95+2.68
=4+2.63(2.68に含まれる0.05を3.95に「振替」)
=6.63
184×5=92×10(184に含まれる2を5に「振替」、「5と2は仲良し」)
=920(桁をずらすだけでしたね)
(★)「5と2は仲良し」について
2(偶数)と5の倍数の掛け算は相性が良く、実質的には桁数が減ったのと同じになります。
少し練習してみましょう。
4×7×5=20×7=140
15×36=30×18(「九九の逆」→36に含まれる2を15に「振替」)
=60×9(九九を利用するために、18に含まれる2を30に「振替」)
=540
3.14×36+0.7×62.8
=3.14×36+7×6.28(62.8に含まれる10を0.7に「振替」)
=3.14×36+3.14×14(6.28に含まれる2を7に「振替」、掛け算は入れ替えても同じですね)
=3.14×50(「3.14の計算は1回」、3.14が36個あって、さらに14個あるから、合計50個)
=1.57×100(3.14に含まれる2を50に「振替」、「5と2は仲良し」)
=157(桁をずらすだけでしたね)
(3)1時までに集まった12×150人(答えの前の式を使うと計算が楽!)を15分で減らすためには、1分間に12×150/15(約分できますね)=120人減らせばいいですね。
ただし、1分間に24人並ぶので、1分あたりに実際に受付ける人数は120+24=144人になります。
窓口1つで1分間に16人受付けるので、1分間に144人受付けるためには、
144/16=9 (144=12×12を利用すると、すばやく約分できますね)
個の窓口が必要です。