灘中学校2017年算数2日目第4問(解答・解説)
図の黄色の三角形はすべて面積が等しくなります。
このことは、例えば、三角形ABCを点Bを中心に時計回りに90度回転すると、三角形PBDの位置に来て、三角形DBIと三角形PBDの底辺と高さが等しくなることからすぐにわかります。
他の部分についても同様です。
したがって、六角形DEFGHIの面積は
3×3+4×4+5×5+3×4×1/2×4
=74cm2
となります。
(2)
正方形の1辺が斜辺となっている直角三角形があるので、合同な直角三角形をつけたし、大きな正方形を作り出すという方針で解きます。 ←実際には、必要な範囲だけの作業にとどめ、正方形を作り出していません。
1辺の長さが求まる正方形のところで作業を行います。
必要な長さを書き込むと(1)の図のようになります。
三角形IROと三角形DPIは合同だから、対応する辺の長さが等しく、
OR
=IP
=3×2
=6cm
となります。
したがって、
NO
=3+3+6
=12cm
となります。
ここで、中心部分の黄色の直角三角形と色を付けた3つの台形だけを寄せ集めると、次の図のように大きな直角三角形ができます。
黄色の直角三角形(3辺の長さが、3cm、4cm、5cmのもの)と大きな直角三角形は相似で、相似比が3:12=1:4だから、
JK
=5×4
=20cm
となり、
LM
=4×4
=16cm
となります。
(3)
図の色をつけた台形3つの面積の合計は、(2)でできた大きな直角三角形から、黄色の直角三角形を引けばよいから、
12×16×1/2−3×4×1/2
=90cm2
となります。
六角形DEFGHIの面積は(1)で求まっていますし、1辺の長さが5cmの正方形HGMNの面積もすぐに求まる(5×5=25cm2)から、正方形IOJDの面積と正方形EKLFの面積を求めればいいですね。
この2つの正方形は1辺の長さが(小学生の範囲では)求まりませんが、面積を求めることはできます。
(2)の最初で述べた方針でも求めることはできますが、ここでは、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を証明して、それを使って解いてみます。 ←灘中受験生なら大半が知っている定理でしょう。
一般に、角Aを直角三角形ABC(AB、BC、CAの長さを○、△、□とします)について、○×○+□×□=△×△が成り立ちます(三平方の定理)。
これは、上の1番左の図において、赤色の正方形の面積+青色の正方形の面積=緑色の正方形の面積が成り立つということですね。
正方形の1辺が斜辺となっている直角三角形があるので、合同な4つの直角三角形をつけたし、大きな正方形を作り出します。
緑色の正方形の周りに、オレンジ色の直角三角形を4つ互い違いに配置し、大きな正方形を作り出します(上の真ん中の図)。
次に、オレンジ色の三角形を1番右の図のように並べ替えると、青色の正方形と赤色の正方形が現れます。
全体の面積が等しく、オレンジ色の部分の面積が等しいので、それ以外の部分の面積も等しくなります。
さて、問題を解いてみましょう。
直角三角形IROに注目すると、正方形IOJDの面積は
4×4+6×6
=52cm2
となり、直角三角形FLTに注目すると、正方形EKLFの面積は
3×3+8×8
=73cm2
となります。
したがって、六角形JKLMNOの面積は
74+25+90+52+73
=314cm2
となります。
なお、「方眼紙」で解く(大きな方眼紙のような図をかき、そこに問題の図をかきこんで、小さな正方形何個分かを考えて解きます)という方針でも解けます。 ←2005年の算数オリンピックファイナルでこの問題と同じような問題が出されていましたが、その誘導がついていました。
東海中学校2006年算数第8問と東海中学校2016年算数第8問もぜひ解いてみましょう。この問題と同様の解法で解けますよ。